(画像は「五味隆典オフィシャルブログ「The Fireball Kid」Powered by Ameba」」より引用)
年末放送の『KYOKUGEN2016』において、
五味隆典×魔裟斗という、今まで幻と思われていたカードが
遂に実現しました!
昔からの格闘技ファンにとっては、
2人が全盛期の時、どちらが強いんだという思いがあったはず。
残念ながら、魔裟斗選手は引退し、
どれほど現役時代に近づけることができるのか?
一方、未だ現役を続けている五味隆典選手は、
格闘家としてのピークが落ちていったのは否めません。
それでも、長年の格闘技ファンの
1つの結論が出されるに違いありません。
今回は、五味隆典選手の、格闘家としての
これまでの経歴を振り返ると共に、
魔裟斗×五味戦の展望を予想してみたいと思います。
目次
五味隆典のこれまでの戦歴を振り返る
かつてPRIDE中量級で総合格闘技を牽引し、
その時代において中量級で最強の一人だったのが
五味隆典選手でした。
当時は、優れたボクシング技術と
テイクダウンを奪われないレスリング技術は
世界最高峰だったと言っても言いすぎじゃなかったと思います。
そして、その試合内容も「スカ勝ち」に拘り、常にKOを目指す。
言動も、またちょっと生意気な感じで、ヒーローでありながら、ち
ょい悪って感じで、人気も絶大でしたね。
PRIDE以降、なかなか五味隆典選手の試合を地上波で観ることがで
きなくなってしまいました。
しかし、今年の年末には、魔裟斗戦という夢のカードが実現し、そ
れも地上波で見れるってんだから楽しみですね。
修斗時代は「スカ勝ち」が少なかった!?
五味隆典選手のプロ格闘家としての出発はかなり早かったようですね。
記録によると高校入学直後にボクシングを始め、
16歳で木口道場レスリング教室に入門。
木口道場はレスリングの道場でかなり厳しいかったようで、
雑誌でみた練習内容を見ると、五味隆典選手の格闘家としての
基礎は木口道場で培われたようなもんだったと思います。
ここで総合格闘技を本格的に初めて、
なんと高校1年で中退しているんですね。
そして、21歳で修斗でプロデビュー。
今でもプロの格闘家って食べていけるのか難しいところだと思いま
すが、五味隆典選手がデビューした当時は今よりももっと厳しい時
代だったと思います。
確実に格闘技では食べていけない時代だったのでしょうが、
そんな世界に21歳で飛び込むってのも覚悟が違ったんでしょうね。
残念ながら、僕は修斗時代の五味隆典選手は
あまり知らないんですね。
修斗ウェルター級チャンピオンであり、
王座決定戦でカリスマ・佐藤ルミナに勝利したってことぐらいしか
知らないのです。
ざっと修斗時代の対戦成績を見てみると、判定勝利がかなり多く、
PRIDE時代とはかなり印象が違う感じだったのかもしれませんね。
ただ、王者陥落するヨアキム・ハンセン戦まで、
デビューから14連勝ってのは、すでに圧倒的な強さの片鱗を見せ付
けてくれていたんじゃないでしょうかね。
PRIDE時代でご存知の通り、絶大な人気に!
実は、修斗時代にヨアキム・ハンセンに敗れて王座陥落した後、
「Rumble on the Rock 4」という大会でBJ・ペンに
チョークスリーパーで敗れており、
PRIDE参戦前に2連敗を経験しているんですね。
その2連敗後にPRIDEに参戦。
そこから6戦続けて1ラウンド勝利を達成しています。
この時から、五味隆典選手の「スカ勝ち」のイメージが付いたわけ
ですね。
それにしても、修斗時代の判定勝ちの多さから、自身初の黒星。
それも連敗を経験して、一体何がここまでの変化を
五味隆典選手に与えたんでしょうかね。
それにしてもPRIDE参戦後、6試合のうち、
当時MMA無敗だったハウフ・グレイシーに勝利。
さらにUFCの初代ライト級王者のジェンス・パルヴァーに勝利。
いや、ホント、相手の強さを考えたら、
当時は世界トップに五味隆典選手がいたといって間違いなかったと
思います。
その後も、元修斗ウェルター級王者同士の対決である川尻達也選手
を破り、圧巻だったのは桜井”マッハ”速人選手に3分56秒でKO勝ち。
この2試合は日本人最強を証明した試合だったんじゃなかなと。
個人的に思うに、五味隆典選手にとって、
ここら辺がピークだったのかもしれません。
まさかの敗北。その後は衰退?
桜井”マッハ”速人戦により初代PRIDEライト級王座に認定された後、
明らかに五味隆典選手のモチベーションが下がった時期がありまし
た。
実際、桜井”マッハ”速人戦の次戦のマーカス・アウレリオに
ノンタイトルながらPRIDE初黒星。
その後にPRIDEの消滅。
戦極への参戦と気持ちの変化も大きかったと思われます。
マーカス・アウレリオに破れた後も、
ニック・ディアスの無効試合を挟み、
マーカス・アウレリオへの再戦勝利を含んで5連勝を記録していま
す。
勝利内容も、やはりKO勝利が多かった。
けど、どこか、桜井”マッハ”速人戦までのギラギラとした感じが少
なくなっていたような気がするんですよ。
当時の雑誌では、桜井”マッハ”速人戦後、
2006年に木口道場から独立し、
自身のジム・久我山ラスカルジムを開いたことに原因がある
と述べられていたのを覚えています。
自身のジムを持つことにより、
練習生の指導をしなければならなくなった。
そして、なにより、ジムには自身よりも強い
指導者がいなかったというんですね。
事実、ジム開設以後、五味隆典選手のセコンドには
練習生が付くということが続いていました。
練習相手も、自分と同等かそれ以上の選手と練習する
機会がほとんどなくなったとありましたね。
戦極に参戦してからも判定が続き、
北岡悟戦での秒殺での敗北は、
五味隆典という時代が終わったんだなと
僕は思ってしまったんですよね。
でも、すぐに次戦で五味隆典選手はまだまだいけるんじゃないか!
という試合をしてくれます。
それが、五味隆典選手が久々に修斗のリングに戻って、
ノンタイトルながら当時の修斗ウェルター級王者の中蔵隆志選手と
対戦した試合でした。
僕は、この中蔵選手が好きでしてね、
ホント立っても、寝ても、面白い試合をしてくれる選手でした。
落ち目の五味隆典選手に勝利して、中蔵選手が一気にスターダムに
のし上がるんじゃないかと期待したもんですよ。
でも、五味隆典選手は強かった。
中蔵選手が弱かったのではなく、
五味隆典選手が強かったという印象を強く残した試合でした。
その後、「VALE TUDO JAPAN 09」での勝利を挟んで、
ついにUFCに参戦することになったんですよね。
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UFCの参戦。期待するもやはり・・・
北岡悟戦のイメージが強く、
五味隆典選手のピークは過ぎたんではないかと思っていた頃に
UFC参戦が決定。
正直、あまりにも遅すぎる参戦だったと
格闘ファンならば、誰でも思ったのではないでしょうか。
この誰でも抱いていた懸念は、やっぱり現実のものになるんですね。
悲しいことに。
UFC参戦一戦目にして、ケニー・フロリアンにチョーク・スリー
パーで敗北。
第2戦目のタイソン・グリフィン戦で1ラウンドKO勝利を収めるも、
その後は勝ったり、負けたりの状態が続いていますね・・・
UFCリリースも間近?引退もあり得る?
2010年にUFCに参戦してから現在11戦。
そのうち勝利が4つ。
現在は3連敗でUFCリリースも間近なのではないかと噂されておりま
す。
2010年から6年間、UFCに参戦し続けているのは凄いことですが、
やはり戦績がよろしくない。
最近の3試合に至っては、
3試合合計で6分27秒と完全に過去の人状態になってしまっています。
負け様も、昔の五味隆典選手からは絶対想像できないことですが、
試合途中に戦意喪失しているのが分かりますもんね・・・
このままいけば、UFCリリースも間違いないでしょうし、
引退という線もかなり濃厚なのではないかなと思ってしまいますね。
年末にかつての夢のカード魔裟斗戦が実現
もう格闘家として引退というランプが点滅状態の五味隆典選手。
これ以上UFCで試合を続けていたとしても、
トップ戦線へと躍り出る事はないでしょう。
五味隆典選手が「引退」という選択を取らないのであるならば、
現在のところRIZIN参戦しかないのだろうかと思われます。
という状況で、年末のRIZIN放送の裏で、
なんと魔裟斗戦が実現してしまいましたね。
このカードは、魔裟斗選手が現役時代、
五味隆典選手がPRIDEで絶対的な強さを誇っていた時に、
夢のカードとして実現が求められていたものです。
これはファンはもちろんのこと、
格闘技を盛り上げたいと考えていた五味隆典選手自身も
望んでいたカードですね。
ただ、当時は魔裟斗選手が引退まで数試合と宣言しており、
五味選手もそれに合わせて挑戦表明するつもりだったようです。
が、自分のフィールドである総合格闘技で、
思ったような勝ちをすることができず、
この状態で挑戦表明したらかっこ悪いと五味選手が発言。
結局、この夢のカードは実現せず、
魔裟斗選手の引退となりました。
ようやく実現したカード。でもその裏側事情は?
昨年に引き続き、魔裟斗選手が年末、一夜限りの復活。
その相手として選ばれたのが五味隆典選手でした。
そのルールはK-1ルールで、3分5ラウンド。
勝敗はKO決着のみで、判定はなく、5ラウンド終了時に引き分け。
というニュースサイトではKO必死の過酷なルールとされていますが、
ちょっと待って下さい。
五味隆典選手はUFCリリースの危機に陥っているのは
間違いありませんが、まだUFCに所属していることになっています。
UFCってのは、所属選手が他のリングに上がることに対して、
非常に厳しい団体であったはずです。。
ならば、なぜこの試合が組まれたのか?
きっと、このカードは試合というよりも、
エキシビジョンマッチ的な扱いなんでしょうね。
実際、現役選手である五味選手にとって、
不利なルールで戦うのはリスクしかない。
この試合が完全にガチであるとして、
自分のフィールドではないルールで戦い、
そのことでケガの恐れが飛躍的に上がる試合を行うはずがない。
一方、魔裟斗選手にとってはプライドがあるでしょうが、
この試合後のことを考える必要はないし、
例え敗れることになっても大きな損失にはならない。
このようなお互いのモチベーション具合を考えると、
どう考えても本気での戦いってのはありそうもないでしょうね。
もちろん、2人とも、魔裟斗選手は引退した選手だとしても、
プロの格闘家として、見てる人たちに感動を与える
そんな試合をしてくれるのは間違いない。
試合予想と、両者が全盛期だったらどうなるか妄想
上記の理由から、
どちらかがKO勝利するっていうことはないでしょう。
そう考えると、夢のカードと期待されるだけに、
世紀の凡戦に終始するのではないだろうかと懸念していしまうのは、
僕だけではないでしょうね。
これが、2005年前後だったら、この2人のカードは当時考えられる
最高のものの1つだったとは思うんですが・・・
実現がやっぱり遅すぎましたかね。
ネット上でも、このカードは賞味期限切れ的な発言も多いんですが、
それでも一方で楽しみにされている方も多いようです。
最後に、魔裟斗選手、五味隆典選手が全盛期に対戦したら、
どんな結果になっていたか、個人的な妄想を。
やっぱり、結果としては魔裟斗選手が完封勝ちなんじゃないかなと
思います。
パンチだけではなく、キックを含め、
あの的確さとスピードには五味選手が対応できなかったと思います
ね。
これは総合格闘家として、やはり五味選手はスタンドだけの警戒で
はなく、タックルへの対応が身に染み付いているので、純粋なキッ
クボクサーとスタンドでのスピードの違いは明らかだと思います。
魔裟斗選手と対戦した川尻選手が試合を振り返った動画を見たので
すが、あのスピードでは、総合格闘技では5分ないし10分のラウン
ドをもたせることができないと言っていました。
3分間で動けるスピードと、5分ないし10分動くスピードはやはり違
うんですね。
そういった点で、やはりK-1ルールである以上、
スタンドがいかに強い五味選手であっても、
魔裟斗選手を倒すのは難しかったのではないかと僕は思いますね。
まとめ
●修斗、PRIDE、戦極と渡り歩いた五味隆典選手は、
当時、紛れもなく中量級世界最強の一人だった。
●UFCに参戦した頃にはピークはすでに去っており、
現在も3連敗中と、UFCリリースも現実的になってきた五味隆典選手。
今後、UFCで再浮上なるか?はたまた引退となるか?
●年末に行われる魔裟斗戦は、昔からのファンにとって待望のカー
ド。でも、ピークがすでに去った両者だけに、過度の期待は禁物か
も!?
来年以降、五味隆典選手が格闘家として
どのような活躍を見せてくれるのか?
現実はかなり厳しい状態にあるのは間違いありません。
それでも何か、観ている者を魅了してくれるのではないか
という期待があります。
UFCでのトップ戦線に絡む事は難しいかもしれませんが、
古豪として、若い選手の壁の1つになるような、
そんな活躍を期待したいものですね。